国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」という。)付加価値情報創生部門地球情報基盤センターの大西領グループリーダーと名古屋工業大学先端医用物理・情報工学研究センターの平田晃正センター長(教授)らの共同研究グループは、都市空間で実際に行動した場合の熱中症リスク評価技術を開発しました。
 JAMSTECでは、大局的な地理情報のみならず、局所的な都市建物や樹木等の物理的作用を考慮可能な都市街区の暑熱環境予測シミュレーションモデルを開発してきました。一方、名古屋工業大学では、50を超える組織構成を考慮した詳細な人体モデルを対象とした大規模シミュレーションにより、発汗量、体温上昇を推定、熱中症のリスクを評価する技術を開発してきました。
 今回、JAMSTECが実施した東京駅周辺を対象とした暑熱環境予測シミュレーションによって算出された5mメッシュの気象データ(気温、湿度、日射量、風速)を入力情報とし、名古屋工業大学の人体モデルシミュレーションを実施することにより、同じ通りを歩く場合であっても日向側と日陰側の違いを考慮したリスク評価技術の開発に成功しました。
 今後、熱中症リスクを定量的に、より詳しく知っていただくことで夏季の戸外イベントでのより安心・安全な環境の確保や人の誘導、都市・街区開発段階における熱中症対策など人の健康配慮への応用が期待されます。

日刊工業新聞などに掲載いただきました。

https://www.nitech.ac.jp/news/press/2019/7618.html